2016年12月29日木曜日

マインドマップでアイデア創造 No.2 「ひらめく状態を意図的に作る」

写真 「ヒナギクの花」

塚原美樹です。

前回は、問題解決など、アイデアが必要な時に、自分の思考の枠をはずす方法として、視点の次元を上げることをお話ししました。

けれど、視点の次元を上げることができたとしても、「うんうん」と考えてしまい、なかなか良いアイデアが出てこないということもあります。
そうかと思えば、ふとした時に、「そうだ!」とひらめくこともあります。「ひらめき」というのは、いったいどのような時に起きるのでしょうか。今回は、「ひらめく状態を意図的に作れないか」ということについて、考えてみたいと思います。

結論から言うと、実は、「ひらめく状態」は意図的に作ることができます。実は、昔からいろいろな人たちがこのことを知っていて、活用しているのです。

1.「3B」で人はひらめく!


ゲシュタルト心理学の創始者の一人とされているヴォルフガング・ケーラーの「ゲシュタルト心理学入門」という本の中に、こんな一節があります。

 「昔から物理学者たちの間では、3Bの場所でひらめきがおきるということが通説になっている」

というのです。

「3B」とは、Bed、Bath、Busの三つです。つまり、布団の中で、お風呂やシャワー、トイレで、乗り合いバス (現代なら地下鉄などの電車も同じ?)の中で、ひらめくというのですね。

たしかに、3Bの場所でひらめくという経験をしたことがある人もいるのではないでしょうか。私の場合には、朝方に布団の中でひらめいたり、忘れていることをふと思い出しますし、考え事をしていて良いアイデアが浮かばない時にシャワーを浴びると、ひらめきます。

さらには、「アルキメデスの原理」で知られるアルキメデスが、王様から与えられた難題を解決するアイデアを得たのもお風呂の中。その時の彼の言葉「ユーリカ! (分かった!)」は、ひらめいた時の言葉として、非常に有名です。

人は3Bの場所でひらめきやすいというこの現象。いったいなぜなのでしょうか?

2.脳波と関係しているひらめく状態


3Bの場所でひらめきが起きやすい理由ですが、おそらく人間の脳波の状態と関係があると考えられているようです。

人間の脳は、起きている時には、β (ベータ)波、α (アルファ)波、θ (シータ)波といったさまざまな脳波を出しているそうです。活動している時には、これらの脳波のうち、β波がたくさん出ていますが、ベッドの中のようなまどろみの状態の時には、θ波がたくさん出ている状態に変わるそうです。

3Bの場所にいる時というのは、緊張がなくリラックスしており、余計な考え事などを手放している時であると言い換えることができます。

おそらくですが、こういった時には、脳波はθ波優位になっていると思われます。このθ波優位のときに、ひらめきが起きるということのようなのです。

では、なぜ、θ波優位の時にひらめきが起きるのかです。

これも推測ではありますが、θ波優位の時、人は顕在意識の活動が減退して頭が休んでいる状態になっています。顕在意識の活動が減退した際には、潜在意識の中に入っている膨大な情報同士がつながりやすくなっているのではないか、もしくは、潜在意識で行なわれている活動に気づきやすくなっているのではないかと考えられます。

つまりは、いろいろと考えるのをやめ、ぼーっとした時にこそ、ひらめきが得られるということです。

誰でも、1日のうちにぼーっとする時間はあるはずなのですが、意識していないと、その時間にひらめきが起きていること自体に気づきません。ですので、「ひらめく状態を意図的に作りたい」と思ったら、3Bのようなぼーっとできる場所にいる時に何が起きるかに注意を向けるようにしてください。ベッドサイドにノートを置いておき、ひらめいたら忘れる前にすぐにメモをするというのも、良い方法ですね。

3.マインドマップのセントラルイメージをしっかり描く


もう一つ、ひらめく状態を意図的に作る方法として、「マインドマップのセントラル・イメージをしっかり描く」というものがあります。

マインドマップ 「LEARN」 (作: 塚原 美樹)
良いアイデアを得るためにはセントラル・イメージをしっかり描けとトニー・ブザンは言っていた

これは、私がかつてマインドマップのインストラクターコースに参加した時に、マインドマップの考案者、トニー・ブザンが教えてくれたことです。

その時、インストラクターの一人が「良いアイデアを浮かべるための方法を教えてください」と質問しました。

すると、トニー・ブザンは「良いアイデアが欲しければ、セントラル・イメージをしっかり描け」と回答したのです。セントラル・イメージとは、マインドマップの中央にある絵のことです。

その際、なぜ、セントラル・イメージをしっかり描くと、良いアイデアが得られるのか、その理由については、トニー・ブザンは言及しませんでした。

私は、その回答を聞いて、「不思議だなあ」と思いました。「ただ、真ん中の絵をしっかり描くだけで、どうして良いアイデアが得られるんだろう」と。

その後、マインドマップを何回も何回も描いていくうちに、ある日、こんなことに気づきました。

 「セントラル・イメージをじっくり描いていると、とても癒されるし、集中してくるな」

これも仮説ですが、セントラル・イメージをしっかり描いている時、人はθ波優位の状態になるのかもしれません。実際にやってみると体感できると思いますが、絵を丁寧に描いている時は、不思議と集中し、疲れも感じず、頭は冴えわたった感じになります。

トニー・ブザンは、理由こそ言いませんでしたが、おそらく、絵を描くという行為に取り組むときの人間の脳の状態がどのようなものであるか、分かっていて回答してくれたのではないかと、私は思っています。

あなたも、アイデアを得たいと思ったら、マインドマップのセントラル・イメージをしっかり描いてみてください。

シリーズ記事 「マインドマップでアイデア創造」

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