2017年1月16日月曜日

マインドマップでアイデア創造 No.6 「比喩を使ってアイデアを生み出す」

写真 「説明している女性」

塚原美樹です。

前回は、創造のフレームワーク「SCAMPER」についてお話ししました。

今回は、ちょっとひとひねりして、比喩を使ったアイデアの生み出し方についてお話ししたいと思います。ちょっと解説が長くなるので、2回に分かれますが、まず今回は、比喩とはどういったことなのか、確認をしていきましょう。

比喩というのは、とても高度な頭の使い方で、トニー・ブザンに「頭の使い方で一番難しいのは何か?」と質問した際、「それはメタファー (隠喩)である」という回答が返ってきたほどです。

1.直喩と隠喩


そもそも、比喩には直喩と隠喩があります。この違いを確認しておきましょう。

直喩とは、たとえた「物」のどの「要素」がたとえられているのかが明示的なたとえのことです。
たとえば、

 「雪のように真っ白な肌」

という直喩においては、

「雪」がたとえた「物」で、「真っ白な」がたとえた「要素」です。明示的に、「たとえた物」と「たとえた要素」のつながりが表現されていますよね。

一方で、隠喩とは、たとえた「物」のどの「要素」がたとえられているのか明示されておらず、前後の文脈から受け手が理解することを期待して作られたたとえです。
たとえば、

 「彼女は女神だ」

という表現はよくありますが、これは隠喩です。

その女性が本当の女神なわけではないですよね。「女神」の持つなんらかの「要素」をたとえているのです。それは、明示的には表現されていないので、前後の文脈から推測するしかありません。「助けてくれる優しい人」ということをたとえているのかもしれませんし、「神聖さを感じるほどの美しさ」をたとえているのかもしれません。

英語では、直喩のことを「simile (シミル)」と言い、隠喩のことを「metopher (メタファー)」と言います。

まず、ここまでは大丈夫でしょうか。

2.マインドマップのイメージはメタファー


ちょっと話がずれますが、実は、マインドマップの中に使われるイメージというのは、ほとんどがメタファーです。

コップ、瓶、鉛筆……などのように形のあるもの、実在するものは、もちろん、絵に描くことができますが、幸せ、朝、通勤……などのように形のないもの、実在しないものや概念は、絵に描くことはできません。では、どうすれば良いのかというと、何らかの実在物になぞらえて、メタファーとして絵を描くしかないのです。

そういう意味では、マインドマップを描くこと自体がメタファーを考える頭の訓練にもなりますね。

たとえば、このマインドマップは考案者のトニー・ブザンの描いたものですが、このセントラル・イメージにもメタファーが隠されています。

マインドマップ 「HEAD STRONG」 (作: トニー・ブザン)
トニー・ブザン作「Head Strong」 セントラル・イメージの腕の中に脳が描かれている

腕の中に描かれているのは筋肉ではなく、脳なのです。これは、何のメタファーであると、あなたは思いますか?

3.逆メタファーの訓練をしよう!


さて、ちょっと頭を柔軟にするトレーニングです。

次の実在する物は、何かのたとえだと思ってください。何をたとえることができると思いますか?

  • うさぎ →
  • 壁 →
  • お財布 →
  • 手帳 →
  • お米 →

これは、正解があるわけではありません。たとえば、こんな風に考えることができます。

  • うさぎ → いたいけな子供 (小さくて大人しく声も出さない)、あわて者 (「うさぎとカメ」の歌や「因幡の素兎」の神話から)
  • 壁 → 障壁、乗り越えなくてはならないもの、向こう側に行くための大きな試練
  • お財布 → お金の出所
  • 手帳 → 大事なことが書かれているもの、知恵やノウハウの宝庫
  • お米 → 栄養源、大切なもの、お金に代わるもの、苦労の末に刈り取る収穫

これは、メタファーを考える時とは、逆の思考法ですね。メタファーを考える際は、たとえば、「知恵やノウハウの宝庫」を「手帳」にたとえようと考えるわけで、上記の例であれば、右から左を考えます。今回は、メタファーとは逆に左から右を考えるということで、この思考法を「逆メタファー」と私は名付けています。

この「逆メタファー」は、実はアイデアを得るのに、とても役に立つのです!

さて、今日はここまでです。次回は、この逆メタファーを使って、実際にアイデアを得る方法をお話しますね。どうぞお楽しみに。

シリーズ記事 「マインドマップでアイデア創造」

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